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どうも!引き続きPush6700の映画評のサイトを見ていただき、ありがとうございました。

私は以前goo映画さんに、daiyal6700というニックネームで投稿させていただいていた者です。

ご存じのとおりgoo映画さんはなくなってしまったのですが、goo映画さんで個人的にやっていた、DVD・TVで見た映画・名作だと思う洋画名作だと思う日本映画駄作だと思う映画、という仕分けが好きだったので、自分のサイト作って残すことにしました。

もし書き加えたい映画があれば、これからも追加していく予定です。

また、特別編として女優さんが魅力的だと思う映画を集めたページを作ってみました。

空気を読まず、書きたいことのみ書いているレビューなので、参考になるかどうかわかりませんが、少しでも共感していただければ幸いです。

Push6700の映画評/DVD・TVで見た映画

PLAN75  評価80点  2023/5/5  

病気で助からない人を殺してあげるという国があるみたいだけど、もしかしたらこの映画みたいなことをする国も出てくるかもしれない。

倍賞千恵子さんのインパクトが凄かった。
この役は妹の美津子さんでもいいと思うけど、美津子さんはいつも同じような役をしていて『護られなかった者たちへ』でも同じような役をしているからあえて千恵子さんにしたのかもしれない。
倍賞千恵子さんは昔美人女優でならした人だし、山田洋次監督作品のイメージが強い。
代表作は『寅さん』で、『幸せの黄色いハンカチ』とか『家族』にも出演している。
妹さんと違っておばあさん役はあまり見たことがなくて、個人的なイメージでは今でも若い頃の美人女優のまま。
その人がいきなりおばあさん役なので驚いた。
更に凄いのが声とか喋り方とかの演技の感じが昔のままのこと。
人間は年をとってくると「わたしゃおばあさんだよ」みたいになってくると思っていたけど違うと思う。
そうなったとしてもそれは演技的なもので、経験値は増えるけど中身は若い頃と変わらないと思う。
人によって違うと思うけど、青年期で完成するみたいな時があって、あとは死ぬまでそのままいく感じじゃないのかな?
自分もたぶんそうだと思うし、アイドルの人とか見ていても、若くして完成してしまって、後はこのままおばあさんまでいくんだろうという人がけっこういる。
そういうことを、倍賞千恵子さんの昔と変わらない演技を見ていて考えた。
それに加えて昔見た作品と重なってしまって、あまり金持ちの役はなかったし、あのキャラクター達の最後はこんな感じなのかなと思った。



内容的には以前松田翔太さんの主演で映画化された『イキガミ』とか星新一さんのショートショートで最近NHKでドラマ化された『生活維持省』みたいなことだと思う。
やっぱり人間は、必要以上に生物を殺しまくり、食いまくり、貴重な地球の資源を使いまくって地球環境を破壊するから、地球環境にとってはいない方がいい生物かもしれない。
人間同士でも争いあって、自然界の掟なのかもしれないけど、弱肉強食で、強い人が弱い人から巻き上げるみたいなことばかりやっている。
このままいくと結局、この映画みたいに、最終的にはまた『楢山節考』的なことになっていくのかもしれない。
個人として考えてみても、生きるのは非常にめんどくさいから、死ねばめんどくさくないし、何もいらないので、死ぬのが一番効率がいいような気がしないでもない。
頭ではそう思うけど、本能的には、周りに迷惑かけまくって、非常に情けない状況になったとしても、生きていたいというのが本音かな?
あといやなのが死ぬ時期がわからないこと。
明日かもしれないし、何十年先かもしれない。
永遠に生きるみたいな気分で生きているけど、人生で確実なのはいつかは死ぬということだけ。
わかっていれば、いろいろ準備をしてやりたいことやってサヨナラできるけど、明日どこかで突然死ぬというというのは勘弁してほしい。
死んでしまえばわからないからどうでもいいんだけど、死んだ後も多少生きているみたいな変な妄想がある。
その辺のところでいろいろ揺れているのに、この映画のように「政府がお手伝いするので死にませんか?」と言われたら本当にやってしまうかもしれない。
病気で助からない人を殺してあげるという国はけっこうあるみたいだけど、もしかしたら期間は長いかもしれないけど助からないという意味では同じなので健康な人も希望者は殺してあげるという国も出てくるかもしれない。
最後の「リンゴの木の下で」は黒澤監督の『生きる』の「ゴンドラの唄」パロディー的なことなんだろうけど、比べたらコメディーか?と思うくらいいろいろ情けない映画ではあったけど、個人的には面白かった。


コーダ あいのうた  評価75点  2023/2/24 

この家族は白人だったけれど、黒人とかアジア人だったらどうなるか見てみたいような気がした。

米国アカデミー作品賞他いろいろな映画賞をとっているので、面白いし感動するんだろうと思っていた。
でも見た結果、個人的には特に感動しなかったし、面白くもなかった。
よくある感じのストーリー展開で、既視感がすごくて、最初の方で最後まで予想できた。
特にその予想を裏切るでもなく、どんでん返しがあるわけでもなく、そのまま最後までいってしまった。
この映画のシーンで例えると、池だか川だかのところに切り立った崖が出てくるところ。
見てる人はこれは絶対に飛び込むだろうと思う。
そこですぐには飛び込まないけど、後から飛び込んで泳ぐシーンを延々とやるみたいなことの繰り返しだった。
ちょっと振って回収、ちょっと振って回収、みたいなことの連続で、特にこれといった事件は起こらなかったような印象だった。
米国アカデミー賞は仲間内の人気投票みたいな感じになってしまって最近は全く信用していないけれど、この映画だったら他にもっといい映画があったのではないか?という気がすごくした。
でも『ドライブマイカー』よりは遥かにいい映画だとは思った。



よかったことと言えば主人公の女の子が可愛かったのと、歌がすごくうまかったこと。
曲も知っている曲はなかったけど、昔のオールディーズ風の曲でいい曲ばかりだった。
ミュージカルではないけれど、ミュージカル風の味付けになっていて、突然歌い出したりせず、いい感じで歌が挿入されていた。
リアルに歌を入れるためなのか、主人公の女の子は合唱部に入るんだけど、アメリカ人の合唱は初めて見た。
合唱についてはよくわからないけど、日本とはずいぶん違う感じがした。
日本だと最初から最後まで全員で歌うイメージだけど、アメリカの合唱は途中にソロが入るらしい。
しかも曲も恋愛ソングだから日本とは違う。
コンサートの最後に主人公の女の子が同級生の男の子とデュエットをやるんだけど、一応合唱といえなくもないけど、ほとんどカラオケスナックみたいになってしまっていて驚いた。

あとよかったのは耳の聞こえない人の気持ちが少しわかったこと。
この映画の家族みたいに完全に聞こえない喋れない人は見たことがないけど、難聴の人は高校の同級生にもいたし、正直そんなに大変な障害だとは思っていなかった。
でも完全に聞こえない喋れないでは、音楽を聴く楽しみが味わえないのはもちろんだけど、他の人とコミュニケーションがとれないし、手話ができる人もそんなにいないから、普通に聞こえる人にはわからない苦労があるような気がする。
それに英語が喋れない、聞き取れない日本人からするとこの家族はすごく親近感があった。
もし自分が今のままアメリカに行ったらこの家族みたいなると思う。
それを考えると、この家族は白人だったけれど、黒人とかアジア人だったらどうなるか見てみたいような気がした。
けれど、この家族がもし黒人とかアジア人だったら、もっとハードなことになって、人種差別の映画だか、障害を持った人の映画だかよくわからなくなるので、白人の家族のソフトな感じの映画にしたのかもしれない。


ドリームプラン  評価70点  2022/8/8  

父と娘のドリームプランというより、お父さん自身のマネープランという感じがしてしかたなかった。

セリーナとビーナスのことは、テニスに全く興味のない自分でも知っていた。
でも勝手なイメージとしては、子供の頃から好きでやっていたら才能が開花して世界一になったみたいなことを想像していたけど全然違っていた。
日本で言えばボクシングの亀田兄弟みたいなことだった。
でも亀田兄弟よりすごいと思うのは、女子で一番金になるスポーツはテニスだから、最初からターゲットを絞って娘にやらせて、しかも成功していること。
もちろん子供に才能があったんだろうけど、金になるスポーツは競争相手も多いので生き残っていくのは至難の業。
小さい頃からやっていなければならないし、しかもいい環境でいいコーチに教えてもらわなければならないらしい。
テニス経験のない素人の貧乏な黒人の家庭でこれをやるのは大変なことだったと思う。
すごく珍しいレアケースだから映画になったんだろうけど、これやっていたら普通は妻が反対したり、娘が言うことを聞かなくなったり、結果が出なかったりして、家庭崩壊みたいになりそうな気がする。
でもこの映画ではそういうことはなくて、娘は常にやる気満々で父親に文句言って反抗したりすることはないし、妻はたまに文句を言うけど、常に協力的で父親の代わりに娘をコーチしたりする。
人によって家庭によって違うんだろうけど、アメリカ人は個人主義のイメージがあるからこういうのはすごく奇妙な感じがした。
よくわからないけど、特殊な宗教の家庭みたいだからそのせいかもしれない。



それにこのおとうさん何を考えてるのかわからない。
この映画では訳のわからない行動をとるのは娘を守る為、愛情の為みたいになってるけど、個人的には金の為、効率の為、自分の為としか思えない。
無料で教えてくれた恩人のコーチに文句言ったり、無下に切ったり、自腹を切って面倒見てもいいと言っているコーチから家族ぐるみで金を散々むしりとっているのに、でかい顔をして自分の勝手な意見を通したりしている。
数々のオファーを断ったり、試合に出さなかったりしているのも、娘を守る為というより、契約したらおしまいだから限界まで金を吊り上げる為にやっているとしか思えない。
不良達に絡まれている時だって、殴られても警察にいかないで、不良達を自分の拳銃で狙ったりしている。
黒人同士の争いなんて警察に行っても相手にされないのかもしれないし、後の復讐が怖いのかもしれないけど、娘を愛しているならこれはない。
アメリカでは殺しなどよくあることで大丈夫なのかもしれないけど、もし捕まったらドリームプランどころの騒ぎではなく、一気に犯罪者の娘になってしまう。
この映画見てるとお父さんと娘のドリームプランというより、お父さん自身のマネープランという感じがしてしかたなかった。
アメリカンドリームって結局こういうことなのかもしれないけど、金の匂いが強すぎて感動できなかった。
スポーツ根性物というより、子供をダシに使ったマネーゲームとして見るなら当然かもしれないけど、こうしなければテニスでは成功できないということなら、純粋な日本人には厳しいかもしれないと思った。


護られなかった者たちへ  評価80点  2022/5/2  

憲法25条や生活保護は生活が苦しい人だけではなくて、世間の人が安心して暮らしていくためにも必要だと思う。

東日本大震災と生活保護を組み合わせた社会派の犯罪映画。
東日本大震災を入れてはいるけど、特にメインテーマというわけではなくて、結局言いたいのは生活保護のことだと思う。
東日本大震災からの流れで生活保護をめぐる殺人事件が起こるんだけど、東日本大震災だけではなくて生活保護が入っているところが面白かった。
生活保護に対する考え方が、役所の担当者も、生活保護を受ける方も、人それぞれ違っていて、これではトラブルだらけになるのはしょうがないのかな?と思った。
映画の内容的にはそのトラブルが連続殺人事件につながっていくんだけど、いろんなものをくっつけて殺人事件が起こり、さらにと意外な犯人というといことで、かなり無理があったかな?という感じだった。
配役も佐藤健さんが主役なんだけど、役に合わないと思う。
集客とか考えなければ、もっと地味な感じの人の方がよかった。
考えてみれば、佐藤健さんていろんな作品に出ているけど、人気があるから無理矢理入れているような役が多くて、合っている役柄は少ない。
合っているのは『仮面ライダー電王』くらいかな?
『るろうに剣心』も合っているような合っていないような感じで、最初が違う人だったらそれはそれでよかったかもしれない。
日本アカデミー賞の助演女優賞をとった清原果耶さんはよかったけど、今のところ個人的にはあまり好きではない。
年齢不詳で演技力もあるからどんな役でもできるし、すごくきれいな顔をしているんだけど、残念ながらあまり可愛くない。
なんかいつもいっぱいいっぱいで余裕がない感じがする。
その感じがこの映画の役には合っていたのでなんとも言えないけど、もうちょっとくだけた感じがあった方がいいかも?



個人的には前から思っていたんだけど生活保護は必要だと思う。
どうなろうと自己責任なんだから、税金で保護する必要はないという人もいるけど、保護するべきだと思う。
もちろん不正受給はだめで、線引きはけっこう難しいと思うけど、それなりに生活が苦しい人は保護すべきだし、もっと手厚くしてもいいと思う。
結局資本主義はお金の取り合いだから、強い人や頭のいい人が、弱い人やばかな人からお金を取り上げる構造になっている。
それはそれで社会の発展に必要なことかもしれないし、稼げる人は稼げばいいと思うけど、だからといって取られる側の人は死んでもいいということにはならない。
もしご飯が食べられなくて死にそうなんだったら、暴力でも犯罪でも正当防衛として緊急避難的に金持からお金をとってもいいと思うし、悪くないと思う。
そういう人が大量にいれば暴動になるし、さらに大事になれば革命ということになる。
とはいえ誰でも自分がやられるのはいやだし、暴動や革命を力で抑え込むのは大変だから、そんなことにならないために憲法25条や生活保護があると思う。
日本は恥の文化だし、自己責任論みたいなのがあって、自分でなんとかできず、世間に迷惑をかけるのが恥ずかしいと言っている人もいるようだけど、世間の人に遠慮する必要はないと思う。
映画の中で他国の人が日本よりも生活保護を受けている人が多いという台詞があったけど、他国はだいたい罪の文化であまり恥ずかしいとは思わないだろうし、保護しないと犯罪や暴動になるからだと思う。
そこそこお金を稼いでいる人は個人的にも生活が苦しい人に援助する義務があると思うし、安心してお金を稼ぐための基礎になるんだから結局は自分のためになると思う。(実際最近中国政府が大企業にそうゆうことをやらせたらしい)


リトル・シングス  評価75点  2021/11/26  

普通のクライムサスペンス映画みたいだけど、実際はかなり深いテーマのありそうな考えさせられる映画だった

デンゼル・ワシントンに外れなしというけど、この映画も外れていなかった。
相棒も誰かと思ったら『ボヘミアンラプソディー』でフレディーマーキュリー役をやってたラミ・マレックだった。
普通のクライムサスペンス映画みたいだけど、実際はかなり深いテーマのありそうな考えさせられる映画だった。
まず題名の『リトル・シングス』、直訳すると「小さな事」という意味だけど、どういうことなんだろうと考えた。

デンゼル・ワシントンは殺人課の刑事だったらしいけど、何か失敗をしたらしくて警官に降格され、どこか違う地区に飛ばされている。
上司にちょっとした用事を頼まれて、元いた地区に戻ってくると、自分の代わりに配属されたラミ・マレックと知り合いになり、ちょうどその時に発生していた連続殺人事件に関わることになる。
このパターンだと、だいたいこの二人は反目しあいながらも協力して犯人を逮捕。
ワシントンは元の部署に戻り、めでたしめでたしで終わるんだけど、そうはならなかった。
ネタバレすると結局ぐちゃぐちゃドロドロの訳のわからない結末になった。



ワシントンが飛ばされた理由も、その本当の原因は後でわかるんだけど、事件に入れ込みすぎておかしくなったということだった。
入れ込みすぎておかしくなって、飛ばされたり、離婚されたりして、酷いことになっているのに「小さいことが大事なんだ、小さいことをないがしろにすると命取りになる。」とか言っている。
でもぐちゃぐちゃドロドロの結末になった後は「小さなことにこだわるな。」みたいになってしまった。
どっちなんだ?と思ったけど同時進行かな?
人間って結局のところどうでもいいような無駄な小さなことをやり続けるしかないし、たとえ酷い結果になったとしても、逃れられないから、最終的にはそう思うしかないということを言いたかったのかな?と思った。

あと「神はいると思うか?」という台詞があったけど、これももう一つのテーマだと思う。
ワシントンも同じようなことを映画の中で言っていたけど、個人的に思ったのは、いるといえばいるけど、いないといえばいないということかな?
人によると思う。
もし神様がいるんであれば、何もしなくても幸せに暮らしていけそうな気がするけど、そういう訳でもない。
才能がある人とか、金持ちとか、運のいい人はそうかもしれないけど、才能のない人とか、貧乏人とか、運の悪い人は必死で前に進んだとしても、だいたい現状維持で、何もしなければとたんにひどいことになる。

この映画の被害者みたいに、中には無残に殺されてしまう人もいるし、逆に冤罪で捕まって酷い目に合ったり、命を落としてしまう人もいる。
もし神様がいるなら犯人には天罰が下りそうだけど、そういうわけでもない。
だから宗教的には天国と地獄があるんだろうけど、どんないい人でも、牛や豚や鳥や魚などを、自分で殺しているわけではないかもしれないけど、殺した肉を食べている。
ベジタリアンでも植物を殺した物を食べているんだから、天国にはいけないような気がする。
結局天国も地獄もなくて、あるのは弱肉強食の掟みたいなことだから、強い人にはとっては神様がいて、弱い人とっては神様はいないということじゃないのかな?


ペイ・フォワード 可能の王国   評価80点  2020/6/27  

世界はお金で回っていると思っていたけど、お金だけではないかもしれないと思った。

『武田鉄矢今朝の三枚おろし』というラジオ番組で紹介されていたので見た。
毎週武田さんが、興味を持った本を解説するみたいな番組なんだけど、その週は近内悠太さんの『世界は贈与でできている』という本だった。
昔、ホリエモンが「この世の中、金で買えないものはない」と言っていて、個人的には何か買えないものがあるだろうと思っていたけど、思いつかなかった。
”愛”と言いたいところだけれど、愛は買える。
当たり前だけど、きれいな女子アナや女優さんが、いろいろなお金持ちと付き合ったり結婚したりするけど、お金を持ってなかったら絶対相手にしない。
これって、愛をお金で買っているということではないのか?と思っていた。
全部ではないにしろ、多少はお金で買っているのは間違いない。
また、お金持ちは”時間”はお金で買えない、とよく言っている。
でも、たぶんその人は、大量の他人の時間を買って、お金に換えているはずで、その人が言っているのは自分が楽しむ時間のことだろうと思うけど、それも他人の時間を使えば、全部ではないにしろ多少は買えると思う。
世の中何でも金で買えるけど、全部ではない、というようなことしか考えつかなかった。

この番組で、武田さんが「金で買えないものは贈り物だ、金で買ったら贈り物ではなくなる」と言っているのを聞いて、金持ちに見返りを期待して、贈り物をするのはどうなんだろう?と思ったけど、この贈り物には三つ条件があるらしい。
一つ目は相手を決めないこと、二つ目は感謝を求めないこと、三つ目は贈り物に自分の名前を書かないこと、ということだったので納得した。
このことを武田さんなのか、近内さんの本に書いてあるのか知らないけど、いろいろな例を挙げて説明していた。
宮沢賢治の『虔十公園林』、小松左京の『復活の日』『首都喪失』『日本沈没』、『つるの恩返し』から白熱教室のマイケル・サンデル教授の言葉とかも出していた。
放送には例がなかったけど、個人的に思い出したのは『レ・ミゼラブル』の冒頭部分、ミリエル司教が、ジャン・バルジャンに銀の燭台をあげるところ。
あれぞまさしくここでいう贈り物だと思う。
あれは強烈だった。
たぶん一度でも読んだ人は一生忘れないだろうし、あれがなければ名作『レ・ミゼラブル』は成立しない。
キリスト教のことはよくわからないけど、こういうことなのかな?と思ったことがある。



放送の内容に戻ると、この流れで出てきたのがこの映画『ペイ・フォワード』だった。
原題は『PAY IT FORWARD』で次に渡せ、みたいな意味らしい。
内容的には、中学生が社会科の授業で、世界を変えるにはどうしたらいいかという課題を出される。
そこで考えたのが、誰でもいいから3人に、実行するのが難しい良いことをしてあげて、「PAY IT FORWARD 次に渡せ」と言う、ということ。
そうすればネズミ算式に、皆がいいことをし始めて、世の中が変わるという計画だった。
中学生は、身近なところから始めるのだけれども、現実は厳しく、なかなかうまくいかない。
だけど、その行動が、大変な波紋を巻き起こしていく、という映画だった。
武田鉄矢さんの勧める映画はだいたいそうなんだけど、テーマ性が強すぎて、表現がついていかず、表面上陳腐な感じになってしまっているのが多いけど、この映画も多少そういう感じになってしまっていた。
確かにいい映画ではあるんだけど、そんなに入ってくる感じではないというか、微妙な感じ。
特にラストが微妙かな?という印象だった。

本編よりも、ラジオ放送で武田さんが、ストーリーを全部説明した話の方が、面白かったし感動した。
映画の内容とは少し違うのだけれども、武田さんは映画の紹介がうまいと思う。
たまにしかやらないけれども、もっといろいろ紹介してほしいような気がした。
映画の感想だか、ラジオ放送の感想だかわからなくなったけど、いろいろ勉強になった。


男はつらいよ 望郷篇  評価75点  2020/6/7  

昭和の人は人情があるのかもしれないけど、人権意識が希薄なような気がする。

BSでやっていたのを録画してあったので、見てみた。
寅さんシリーズはたくさんあるので、どれを見たのか、見てないのか覚えていない。
見たいときTVでやっているのを録画して見る、みたいな感じだから同じのを何度も見たりする。
これも前に見たやつで、何度か見てると思う。
内容的には、いつも通りで、普通の庶民の話だし、そんなに面白いという訳ではなけれど、寅さんのすごいのは昭和をそのまま切り取っているところ。
街並みとかは全くそのままで、『三丁目の夕日』みたいにCGは使っていない(なかったから当たり前だけれど・・・)。
しかも全国のいろいろな場所を回っている。
セットも使っているけどロケが多くて、古い家とか建物とかがすごくいい。
今回SLの窯に石炭入れる人が出てくるけど、本物が普通に走っているところも含めて、当然のように使っているからすごいと思った。
生活様式とかファッションとかもそのまま出てくので、特に昭和の時代を知らない人は、それだけでも見る価値はあると思う。
それから、これ見ていてなんとなく思ったのだけれど、寅さんは昭和の時代の人々の考え方とか、行動パターンも切り取っているような気がする。



この映画は山田監督の作り話なんだけど、現在これを見るとすごく違和感がある。
昭和の時代って、あまり人権意識はなかったような気がする。
みんな貧乏で、人権とか言っていたら何もできない時代だったのかもしれないけど、何かおかしい。
この映画に出てくる北海道の死にかけの親分。
若い頃遊び半分で、女の人に子供を産ませて、全くめんどうをみない。
その女の人の葬式にも出ず、香典さえも出さなかったのに、死ぬ前に子供に会いたいとか言い出す。
寅さんが以前世話になったらしく、その子供を訪ねていって、連れてこようとして断られ、「お前それでも血の通った人間なのか?」とか言っていたけど、これもすごくおかしいし、どちらかといえば逆だと思う。
基本親分も寅さんもヤクザ的な人で、まともな人間ではないんだけど、昭和の人は全体的にこういう感じのような気がする。
義理とか人情優先で、他人の人権などおかまいなし。
昔から弱肉強食は変わらないと思うけど、それに加えて、封建的な意味で、自分より下の人とか弱い人には、何をやっても許されると思っている。
親が子供を躾と称して殴るのは当たり前、先生が生徒を指導と称して叩くのは当たり前、上司や先輩が暴言をはいたり、脅したり、時には暴力で、部下や後輩を思い通りにさせようとしたり、セクハラも当たり前で、プライバシーもない。
それもこれも全部相手のためとか、相手が弱いからいけないのであって、自分は悪くない、悔しかったら強くなれ、みたいな訳の分からない理屈で、正当化して終わりになる。
今やったら大変なことになる。

それから前はなんとも思わなかったけれど、このシリーズに出てくるマドンナも、ひどい女性が多いような気がしてきた。
寅さんに好かれていることなど、一目見れば小学生でもわかりそうなものなのに、いつも気づいてないし、気づいているのかもしれないけど、眼中にない。
思わせぶりなことを何度も繰り返して、さんざん寅さんを利用したあげく、他の男とくっつく。
この映画の豆腐屋の娘もひどい。
この娘が目当てで、豆腐屋で働いている寅さんも寅さんだけど、何も知らない寅さんに「ずっとここにいてくれますよね?」などと確認(寅さんは逆プロポーズだと思った)した後で、他の男を連れてきて「この人と結婚します」って何?これはひどいと思った。
以前見た時はなんとも思わなかったけど、今回はなんとなく腹が立って、それこそ「お前それでも血の通った人間なのか?」と言いたくなった。
でも、これは昭和がどうのこうのということではなくて、今も昔も同じかな?(最近もそんなようなことやってるアイドルがいた)
それ考えると、やっぱり八千草さんのやってたお千代ちゃんは、最高のマドンナだった。
一作だけではなくて、リリーさんみたいに何作か登場してほしかったような気がした。

ギリーは首ったけ  評価85点  2020/3/11  

面白かったけど、ギャグについては感覚的な問題が大きいので個人差があるかもしれない。

面白かった。最近は新しいのしか借りないんだけど、なんとなく古いのも見たくなり、古い映画のDVDを探していたらこれを見つけた。
先ずタイトルを『メリーに首ったけ』にかけてあるところに惹かれた。
ヒロインはキャメロンさんと同じような金髪の人で内容はラブコメらしく、ファレリー兄弟最新作と書いてあったけど、監督はジェームズ・B・ロジャーズという知らない人だった。
何か怪しい感じでどうするか迷ったけど借りてよかった。
大変な大当たりの場外ホームランだった。
内容は『メリーに首ったけ』と違うといえば違うけど、ストーリーの展開の仕方とか映像の感じとかギャグとかは『メリーに首ったけ』にそっくり。
ヒロインは容姿的にはキャメロンさんよりだいぶ落ちるけど、金髪でスタイルがよくてきれいな人。
主人公のギリー役の人は正統派の恋愛映画でも十分いけそうなかなりのイケメンだった。
でもこの映画の場合、キャストとかストーリーとかよりもよかったのはギャグ、それから演出だった。
だいたいアメリカのラブコメは下ネタで笑わせようとするけど、この下ネタがうけないと大惨事になる。
ほとんどのアメリカのラブコメ映画は惨いことになっていて、下ネタギャグが少なければ軽傷で済むけれど、多ければ大惨事ということになる。
でもこの映画はそういうことになっていないところがすごかった。



この映画見て思ったのは、ギャグについては感覚的な問題が大きいので個人差があるかもしれないということ。
映画サイトで評価見てみたけど、個人的には最高ランクで面白かったのに、かなり低い評価だった。
たぶんギャグがその人の価値観の許容範囲を超えていたということなんだろうと思った。
下ネタはもちろん、障害者や動物を使って笑いをとろうとするところや、一部残酷なところも気に障ったようなことを書いている人が多かった。
でも笑いというのは基本的に残酷なものだし、現実社会もかなり残酷だと思う。
それが気に食わないのであれば笑いにくいし、生きていくのもけっこう大変だと思う。
現実社会には下ネタ的なこともあるし、障害者や動物もいるわけだから、腫れ物に触るような扱いをしなくても、セクハラやいじめにならないくらいの範囲で笑えるならその方がいいと思う。
その範囲は個人差があるんともいえないけれど、個人的にこの映画は、その辺の匙加減が絶妙で感覚的にぴったりで笑えたし、しかもストーリーもラブコメの王道パターンから外れることなくちゃんと感動できた。
一般的に考えれば、日本人(特に女性?)にうけるものではないと思うけれど、感覚的に合う人ならものすごく面白いと思う。
『メリーに首ったけ』もそんな感じの映画だったけど、この映画は更に尖っているような印象だった。


カイジ 動物世界  評価70点  2019/9/18  

『カイジ』の世界って動物世界というより中国世界という感じするんだけど違うのかな?

このリメイク版に関しては全然知らなくてレンタル屋さんで見つけて借りた。
マイケルダグラスが出演していたし、こういうのはだいたいハリウッドリメイクなのでジャケットに本国一位と書いてあったので全米一位はすごいと思った。
見始めたら漢字ばかり出てくるので中国映画なのかと少し驚いた。
香港ではなく中国らしい。
考えたら合作映画は多いけど純粋な中国映画自体あまり見たことない。
見たことあるのは『北京バイオリン』くらい。
もっといろいろあるんだろうからどんどん日本に入ってきてもいいような気がするけどあまり見かけない。
中国ってあらゆる物をパクって自分の物にしてしまうから、パクリ映画もたくさんあるんだろうからいろいろ見てみたい。
作る方は困るんだろうけど見る方はあまり関係ないからどんどん輸入してほしい。
著作権の関係で入ってこないのかもしれないけど『バトルロワイヤル』と『ハンガーゲーム』くらいの物なら中国側で全く関係ないとかインスパイアーされたとか言えば通りそうな気がする。
とはいえこの『カイジ』はパクったわけではなく正式なリメイク版らしい。
しかも製作費は70億円と聞いてまた驚いた。
中国で大ヒットして続編の制作も決定しているらしい。
これがうけるなら『ライアーゲーム』(韓国でやったけど・・・)『トモダチゲーム』『王様ゲーム』『人狼ゲーム』『賭けグルイ』などいろいろ元はあるのでどんどんリメイクしてほしいような気がした。



映画の内容的には原作そのまま。
エスポワール号での『限定ジャンケン』のところ。
原作も大好きだし、元の映画を個人的に名作と思う映画に入れているけど、これもまた変わったアレンジで十分面白かった。
ちなみになぜかエスポワール号はそのままでもいいのにデステニー号に変わっていた。
刀根川の役がマイケルダグラスになっていたのが不思議。
なんでマイケルダグラス?メチャクチャ無駄遣いのような気がする。
マイケルダグラスでは焼き土下座の時ちょっと問題になりそうな気がするし、ありえないと思うけどスピンオフで『中間管理職刀根川』やる時どうするんだ?と心配になった。
あとお金がかかっていたのはカイジの妄想シーン。
原作にも元の映画にもそんなシーンはなかったけど、やたらCGを使ったり、アクションシーンを入れたりで、良くなっているのか無駄遣いなのかよくわからなかった。
サブタイトルが動物世界となっていて、弱肉強食みたいなことを主張したいのかもしれないけど、これって動物世界というより人間世界だと思う。
逆説的な意味かもしれないけど、それ中国の人が言うか?という感じもしなくもない。
個人的印象だけど中国社会そのままという気がしなくもない。
偏見なのかもしれないけど、カイジだけが日本人で他の人は皆中国人的な感じがする。
中国には行ったことないけど、日本にいる中国人と外から中国を見た感じだと「金の為なら命もいらない」という感じの人が多いような気がする。
笑い話のようだけど、ある意味正しいような気もする。
刀根川の名言で「金は命より重いんだ!」というのがあるけど、まさにそれを地で行くような人が多い。
だから『カイジ』って、珍しく中国で正式リメイクされて大ヒットしたのかな?という気がした。


恋は雨上がりのように  評価80点  2019/3/28  

おっさんと少女の恋愛映画みたいなものをもっと作ってほしいような気がした。

原作は読んでいないけど、青年誌に連載されているものらしいので、少女マンガをおっさん向けに構成し直したものだと思う。
少女マンガのパターンは好きだけど、そのまま少女向けにされると、おっさんは入っていけなくなる。
おっさんが出てくることもあるけど、すごくかっこいいおっさんで、こんなおっさんいないよみたいなキャラになる。

少女マンガパターンだと舞台は高校、主人公は地味な子なんだけどかっこよくていい感じの仲間がいて、恋の相手は学校で一番のイケメンになる。
これだとおっさんが入っていくのは非常に困難。
個人的なことを言わしてもらうと、自分の高校時代はそんなにいいものではなかったし、もちろん学校で一番のイケメンでもなく、もてないニ軍系の地味な高校生だったので、高校時代だったとしても苦しいと思う。
そこでこのパターンを一部変えて、恋の相手をバツイチ子持ちのさえないファミレス店長にして、高校生ではあるけれど舞台は学校よりも主にバイト先のファミレス、主人公は地味ではないけれどいろいろ傷ついている女の子になっている。
おっさん向けではあるけれども、かっこよくていい感じの仲間達はそのままなので、女性でもそこそこ楽しめそうな気がした。



出演者ではやっぱりバツイチ子持ちのさえないファミレス店長のところが一番重要だと思った。
ここが斎藤工さんみたいな人になると、なんだかなあ〜という感じになるんだけど、ここはしっかり大泉洋さんになっているところがいい。
かっこいいようなかっこわるいような微妙な感じということになると、やっぱり大泉さんしかいないような気がする。
完全に大泉さんに感情移入して見ることができた。
主人公の高校生の女の子はかわいければ誰でもいいような気がするけれど、小松菜奈さんでよかったような気がする。
死んだ目をしていて、かわいいのだけれども地味な感じがいい。
小松さんが出演している映画はたくさん見ているけれど、全く記憶にない。
この人は前に出てこないから作品を壊さない。
元アイドルの人とか、若手の有名どころの女優さんでは、でっぱりすぎてよくなかったと思う。
元アイドルといえば、最後の最後に元エビ中の廣田あいかさんが出てくるんだけど、最後に出すところがうまいと思った。
最初に出したいところだと思うけど、それだとインパクトが強すぎてよくなかったと思う。

さえないおっさんと少女の恋愛物ってありそうでないけれど、ガチでいかなければ、本当に爽やかでピュアな物語になると思う。
おばさんと少年ではどうしてもドロドロ感が拭えないし、はやりのおっさんどうしの恋愛もちょっとおっさんにはきつい。
おっさんと少女の恋愛映画みたいなものをもっと作ってほしいような気がした。


愚行録  評価70点  2018/2/17  

学生の世界も一皮むけば弱肉強食。一般社会とだいたい同じなんだけど、お金があまり関係しない分、お金のいい面の合理性がなく、野獣の世界に近い感じになる。

小出恵介さんがはまり役。もうこの人しかいないという感じ。
漫才だったら「そのままやんけ」とツッコミたくなる感じだった。
登場人物は皆腐った人間ばかり。この映画の犯人でなくても実行するかどうかは別として殺したくなると思う。
原作読んでないし作り話だけど、有名な小説が原作らしいから、外形だけでも現実に即しているはずで、小出さんではないけれども、たぶん慶応大学や早稲田大学のことなのでは?と思った。
慶応大学や早稲田大学出身ではないので、よくわからないけれども、慶応や早稲田だったら、付属校の偏差値はものすごく高いしお金持ちばかりのはずだから、内部生、外部生とか家柄がどうのこうのというのはあるかもしれない。
そして学生時代が中心だから、スクールカースト制のことなのか?とも思った。
金持ちとか家柄とか、スクールカースト制って、自分の学生時代にはなかったような気がする。
もしかしたらあったのかもしれないけど、昔から周りの空気が全く読めない、人の気持ちがわからないバカだったから気づかなかっただけかもしれない。



スクールカースト制ではないのかもしれないけれど、小学校くらいの時から、強くて何でもできるグループと、弱くて何もできないグループはあった。
私は常に弱くて何もできないグループだったから、強くてなんでもできるグループに強烈に憧れていて、弱くて何もできない自分が嫌いだった。
なんとか強くてなんでもできるグループに入りたいと思って、いろいろバカなことをやったけど、結局は入れず、恥ずかしい思いや失敗をたくさんしただけだった。
そのうちもう自分には無理、どうにでもなれ、みたいに思って開き直り、やらなくなった。
今考えてみると弱くても、いい思いができなくても、自分は自分でいいようながするが、当時はそう思わなかった。
なんでそういうことになったのか考えてみると、親の期待だったのか、教育が悪かったのか、周りの雰囲気だったのか、単に自分がバカだったからか、頭に障害があったのかよくわからないけれど、もしかしたらDNAの指令だったのかな?と思う時がある。
学生なんて一皮むけば野獣と同じ。食い物が保証されていて、自由となると、生殖本能と生き残り本能優先になり、その上での弱肉強食みたいになる。
弱いやつはみんなもっていかれて苦しくなり、強いやつはみんな奪ってさらに快適な生活みたいになる。
一般社会とだいたい同じなんだけど、お金があまり関係しない分、お金のいい面の合理性がなく、野獣に近い感じになる。
だからなんとか強いグループに入れと本能が命令していたのかもしれない。
今思うと野獣ではないのだから、そんなことをする必要はなかった、本当にバカなことをした(これが愚行録ということ・・・?)と思う。
よくわからないけど、自分に即して考えてみると、これを作った人はその辺のことを表現したかったのかな?と思った。


セトウツミ  評価80点  2017/12/18  

この映画見てたら、なんで今のテレビの”お笑い”がつまらないのかわかった。

関西人が二人集まると漫才みたいになるということのような漫画原作の映画。
別にマイナーな方の人ではないけれど、なぜかクラスで浮いている男子高校生二人が、暇な時間に川原で話すだけの内容。
「別に映画でなくてもええんやないか?漫才でええんちゃう?」みたいな感じ。
これ見てると関西の人が怒りそうなニセ関西弁になってしまう。
漫画で描くものでもないような気がするけど、全くそんなことはなかったし、内容的にもとても素晴らしかった。
何が素晴らしいかというと観ている観客を意識していないところ。
普通漫才だと一発で観客に伝えて、その場で笑をとらなければならない。
だから内容というより、なるべく易しい言葉で、言葉自体の面白さや、その場の雰囲気やノリ、間の取り方、キャラいじり的なことになっていく。
でもこの作品は、その場に観客はいないから基本的に内容勝負。
別に今わからなくても、笑いをとれなくても、後で面白いと思ってもらえばいいから、内容がある。
難しい言葉を使って、メッセージがあって、テーマ的なものもあるし、哲学的な感じもする。
ストーリーがあって、絵や映像付きのコント的な要素も加わっている。
普通は炎上するような批判的な台詞もある。
これ見てたら、個人的にテレビで見ている”お笑い”がつまらないのはこのせいなのかと気がついた。
原作に出てくるハツ美ちゃんがいたら、「”個人的に”なんていらんねん!そんなもの自信のなさからくる責任逃れでしかないから!!」と言われそうですが・・・?
映画版で残念だったのは、このハツ美ちゃんが出てこないこと。
テレビドラマ版には出てくるんだけど、原作を読んで感激したハツ美ちゃんの”関西人”に対するヘイト的な名台詞が、テレビドラマ版では、批判・炎上を恐れてか、なぜかピンポイントでカットされていた。
個人的にテレビの”お笑い”がつまらないのはこういうことのせいなのかと再確認した。
お笑いのプロの人やその関係者の人の意見は違うかもしれないし、文句があるなら自分でやってみろ!と言われるのかもしれないけど、もちろん素人なので自分ではできません。
できれば茂木健一郎さんに、お笑い批判に対するの謝罪を撤回してもらって、頑張って引き続き主張していただきたいです。

 

ビリギャル  2016/2/21  評価80点  

一昔前の設定なら、めでたし、めでたし、ということになるのだろうけど、現在ではどうなのかな?

有村架純さんが可愛いし、実話が元になっている映画なのですごくリアル。
友情があって、家族愛があって、夢みたいなものもある。
最初は落ちこぼれだった主人公が、必死で努力した結果、慶応大学合格という大勝利で終わる。
以前読んだマンガの『ドラゴン桜』(落ちこぼれの生徒が、奇抜な指導で、東大に合格する話)みたいで面白かった。
でも、一昔前の設定なら、めでたし、めでたし、ということになるのだろうけど、現在ではどうなのかな?



友達のいない小学生だった工藤さやか(有村架純)は、ある日見た制服にあこがれ、中高大一貫校の女子高に入学する。エスカレーター式に進学できると思っていたさやかは、まったく勉強せず、やっとできた友達と遊びまくっていた。そのため成績も下がり、いつのまにか内部進学も危ない状態になる。しかし、父親はさやかの弟をプロ野球選手にするという夢にとりつかれ、さやかと末の妹のことにはまったく興味がなく、母親に押し付けていた。成績や素行のことで、何度も学校に呼び出された母親は、学校の教育方針に疑問を持ち、さやかに外部受験をさせることを考え始める。塾の面接に連れていかれたさやかは、塾教師の坪田と出会った。坪田はさやかと話し、頑張って慶応大学に入ろうと言い始める。

現在では、大学に入りたい人は、選ばなければとりあえず全員どこかに入れる大学全入時代。
浪人する人もあまりいなくなった。
なおかつ、一昔前と違って、大学を出たというだけでは、いいところに就職するのは難しい。
入れたとしてもエリートとして一生安泰とはなかなかいかない。
慶応大学は数少ないブランド大学だから、多少有利とはいえ、簡単に一流企業や官庁に入れるほど甘くない。
そんな中、なんの明確な目的もなく、なんとなくよさそうだからと、無理していい大学に入ってもしょうがないような気がする。
もちろん少しでも高いレベルの勉強がしたいということなら問題ないけど、ビリギャルの場合は違うと思う。
この映画見た後、慶応大学の女子大生では、いろいろちやほやされるし、たぶん無理した分リバウンドがきて、遊んでしまうだろうとなんとなく予想していた。
気になってその後のビリギャルをネットで調べてみたら、やっぱりそれなりだった。
それがリアルな人生なのかもしれないけど、勝ったのか、負けたのか、可能性を広げたのか、狭めたのかよくわからない。
最初坪田先生は、さやかに「東大入るか?」と聞いていたけど、“いくら商売とはいえ、無責任によく言うよ、万が一東大に入れたとしてその後どうするの?”と思ったのは私だけなのかな・・・?
ちなみにマンガ『ドラゴン桜』では、「そんなことは知らん!東大に入れてやるのだから、東大ブランドを使って、自分でなんとかしろ!」と先生が言っていた。


武士の献立  評価80点  2015/10/24  

昔の女性は、多かれ少なかれ、武士道の思想が入っているから、こんな感じだったのだろうと思った。

照明がすごく工夫されていて、全体的に暗いのだけれども、物語的には暗い印象を受けなかった。
何かを語っているということはないと思うけれど、蝋燭の明かりしかなかった時代をよく表していてよかった。
春役の上戸彩さんが最高。
かわいいし、男前だし、着物と日本髪がすごく似合う。
こんなに似合う人は今まで見たことない。
映画『テルマエロマエ』で、平たい顔族(日本人)の代表みたいな役だっただけのことはある。
キャラクター的にも、まるで女の武士みたいな感じで、男前だった。
昔の女性は、多かれ少なかれ、武士道の思想が入っているから、こんな感じだったのだろうと思った。



加賀藩の江戸屋敷に奉公している春は身寄りがない。一度は嫁に行ったが、生意気だということで離縁され、江戸屋敷に戻ってきていた。ある宴会の余興の席で、見事料理の材料を当てた春は、加賀藩の料理方、舟木伝内に見初められ、ぜひ当家の嫁にと言われるが、断る。だが、あきらめきれない伝内は再び春の元を訪れる。その場で土下座までされた春は、断りきれず、しかたなく申し出を受け入れることにする。春の相手は坂本家の次男安信。ひたすら剣術に打ち込んできたが、長男が急死したことにより、急遽料理方である坂本家を継ぐことになったのだ。だが、本人は”包丁侍”など、まったくやる気がない。安信が親戚に出した料理が、あまりにもひどかったため春が手を加えた。そのことに腹を立てた安信は、春といさかいになった。その場で春は、負けたら離縁、勝ったら安信に春の料理指南を受けてもらう、という約束で、包丁勝負を申し出る。なんとか勝利した春は、安信に料理を教えることになる。その後、春のおかげで料理の腕を上げ、包丁侍として出世していく安信だったが、藩主の急死により、お家騒動に巻き込まれていく。

チャンバラなしの時代劇映画はあまりないけど、チャンバラなしでもすごく面白かった。
武士が料理をしていて、”包丁侍”がいたということは聞いたことがない。
武士は、男子厨房に入らずで、料理はしないし、厨房にも入らないないものだと思っていた。
だいたい他の作品でも、お抱えの料理人(町人?)のような人がいて、その人が作ることになっている。
実際には当たり前のことなのかもしれないけど、武士がお役目として料理を作っていたということ自体が面白いし、すごくいい設定だと思う。
『武士の家計簿』に続く第二弾らしいけど、こういうNHKの『タイムスクープハンター』みたいな時代劇を、どんどん作ってほしいです。


劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日  評価75点  2014/7/5  

体験型の演出は、あまり好きではないけれど、時代劇の場合だけはいいと思う。

ホームビデオで撮ったような体験型の映画は、あまり好きではないけれど、時代劇だけはいいと思う。
テレビの方は、ちょっと見たことあるけれど、バカバカしい設定の割に、地味でつまらない印象があった。
NHKも、なんでこんな番組作るのか?と思っていたけど、この映画見てやっと意味がわかった。



それはたぶん、リアルな、その時代の庶民の人々を、直接見てみたいから。
背景的に、映画や小説に出てくる生活や街並みではなく、実際の庶民の生活が見てみたいからだと思った。
極端な話、庶民が朝起きてから夜寝るまでをずっと撮っている映像でも、面白いかもしれない。
一見、バカバカしい設定のような気がするが、時代劇にホームビデオは使えないから、こういう形にならざるをえないかもしれない。
本作は、信長も秀吉も光秀も出てこないけれど、「本能寺の変」の時の安土城焼失事件の話。
かなりストーリーを練りに練っていて、思わぬところから、タイムスクープハンターを巻き込んだ、安土城の財宝をめぐる、大決戦になっていく。
テーマパーク型の遊園地の、体験型アトラクションみたいな映画でした。
今まで、日光江戸村や、京都の太秦映画村などにも行ったことがあるけれど、あまり興味がわかなかった。
それはたぶん上辺だけ、風景だけ見せようとしているから。
忍者や武士や花魁のショーを見ても興味がわかないけど、実際に生活している姿なら、すごく見てみたい。
日光江戸村や、京都の太秦映画村に、実際に時代設定そのままに生活している人がいて、そこを歩いていたり、コンタクトできたりしたら面白いだろうと思う。
例えるなら、北海道の旭山動物園の行動展示のようなものです。
普通の展示と、行動展示では、面白さがまったく違う。
現代劇の体験型の演出はあまり好きではないけれど、時代劇に限ってはいいと思う。
「タイムスクープハンター」は、時代劇の行動展示をしたいのだろうと思った。


恐怖と欲望  評価65点  2014/4/20 

「FEAR&DESIRE」って、そのまんま、掛け値なしにキューブリック作品です、みたいな題名だと思います。

内容はすごくつまっていて、とても一時間ちょっとの作品とは思えなかった。
全体的にネガティブだけれども、台詞がとても深く、味のあるものが多かった。
音楽は古かったけれども、後の作品にもよく出てくる「ドーン・ドーン」という静かな太鼓の音みたいな演出を多用していたので、最初の作品から使っていたことがわかり、面白かった。
個人的には面白かったけれど、キューブリック監督自ら封印していただけに、映像、演出等のできはよくないかもしれない。
でも、「FEAR&DESIRE」って、そのまんま、掛け値なしにキューブリック作品です、みたいな題名だと思います。
キューブリック作品は全部見ているけど、すべてのキューブリック監督作品に、共通のテーマといっても過言ではないです。
「FEAR」には、恐怖の他に、不安、懸念、悪いことが起こる可能性とか、残念に思う、などの意味があるけれど、まさにキューブリック監督の全作品のテーマそのものです。
「DESIRE」(欲望)も含めて、そのテーマは生涯を通して変わらなかった。
キューブリック監督って、ネガティブ大好き人間で、ネガティブなことばかりやっていた。
これが、ポジティブ大好きのアメリカ人や、ハリウッドの映画人から見ると、奇妙な感じに見えて、奇才と言われたのだろうと思う。
私も、「勇気、信念、無欲、愛」みたいなものは大好きで、できれば映画ではこっち方を見たいと思うけれど、それは現実の日常ではめったに見かけない奇跡のようなもの、のような気がする。
現実に人間を支配しているものは、「恐怖、不安、欲望」だし、これは日常よく見かける。
キューブリック監督は、その日常のネガティブなことを、徹底的なリアリズム、卓越した映像感覚と演出、アイロニー的なブラックユーモアで、見事な作品群を作った。
これは商業映画では、かなり難しいことらしく、こういう監督はめったに見かけない。
しいていえば、作風はだいぶ違うけれども、クリント・イーストウッド監督くらい。
個人的な印象で、想像だけれども、この映画を封印した理由は、自身のデビュー作で、映像や演出の技術が伴っておらず、かなりむき出しの感じ(スッピン?)になってしまったので、なんとなく恥ずかしく、隠したかったのだろうと思った。


きっと、うまくいく   評価85点  2014/4/12 

すごく面白かったけれど、「きっと、うまくいかない」と、思えてしょうがないところがあった。

すごく面白かった。時間は長いけど、内容も濃い。
面白いだけではなく、テーマ的なものも、すごく深くて、興味深い。
インド映画というと、荒唐無稽な印象があるけれど、この作品は割と現実的。
現在のインドの社会も垣間見られてよかった。
インドの社会が、現実にこのような感じなのかどうかは知らないけれど、多少はこの映画に反映していると思うので、日本と比較して、いろいろ気になった。
いいと思ったのは、エンジニアを重視して、育成し、優遇しようとしているところ。
エンジニアは、インドだけでなく、日本みたいに資源も食料も何もない国には特に重要。
優秀なエンジニアがいなければ、国民はご飯食べていけない。
日本は、文系のエリートみたいな人に支配されていて、エンジニアは軽視されおり、なおかつ冷遇されている。
今までは、国内で完結していたから、それでもよかったのかもしれないけれど、グローバル化して、国家間競争となると、それではやっていけなくなるのは明白。
まず第一になり手がいなくなるし、本当に優秀な人材は、国外に出てしまう。
現在いる人材だって、海外に出ていって、技術流出につながる。
エンジニアを重視して、育成し、優遇する、インド人はえらいし、頭がいいと思った。
でも、それは現実的でいいと思うのだけれど、一歩進んで、さらに現実的な、ガチガチの成果主義みたいなものがちょっとひっかかった。
この映画は、そういうものに反抗するストーリーなのだけれど、それはあくまで理想の夢の世界で、ガチガチの成果主義が、ごく当たり前の前提になっている。
成果とは何?と考えると、わかりやすいところで、数字みたいなもの、結局、成績とかお金になる。
成果主義は、トップクラスの人にはいいかもしれないけど、全体的にはうまくいかず、停滞すると思う。
なぜかというと、直接成果につながらないものは、だんだん消えていき、多様性がなくなるから。
例えれば、野球が一番お金になり、効率がいいから、全員で野球をやり、プロやメジャーにいけない人は、それで人生終わりで、トップクラスの人の使用人になるくらいしか生きる道がないような世界。
これでは、野球界は発展するだろうけど、全体的には「きっと、うまくいかない」
インド人に優秀なIT技術者が多いという理由も、こういうところにあるのかもしれない。
全体は無理だから、とりあえず一部だけでもということだろうけど、インドの人に「それでいいのですか?」と聞いてみたくなった。


プラチナデータ  評価85点  2013/11/2 

目のつけどころと設定が衝撃的でした。近未来のことというよりも、現在の方がある意味上をいっているかもしれないです。

この映画の初めのところで、「DNAがすべてを決めるのだ!!」と神楽(二宮和也)がすごい極論を言いきった。
よくわからないけど、そのとおりかもしれない。
”生物はDNAを運ぶ器”とよく言われるけど、人間も生物に入っている。
人間の場合は動物と違って自律的に行動でき、なんでもできると思われているけど、はたしてそうなのかな?
やっぱりDNAに支配されているのでは?
この映画でも、サヴァン症候群の女の子が出てくるけど、程度の差こそあれ、人間は皆、サヴァン症候群のような気がする。
遺伝性の知的障害や発達障害は、基本的に治らないし、できることはできるけど、できないことはできない。
練習や訓練でできるようになることは、結局はできることだったのかもしれないし、練習や訓練でどうにもならないことは数限りなくある。
この一言は、すごい衝撃的でした。
東野さんの作品はひとつも読んだことないし、映画化されているものをよくDVDで見るけど、あまり好きではありませんでした。
原作の方がいいのかもしれないけど、この映画の内容は好きです。目のつけどころと、設定が素晴らしい。
中でも”DNA捜査システム”というアイディアは素晴らしいです。
DNAプロファイリング(DNAで犯人像を推定すること)がかっこよかった。
この流れで、現在の日本の国会で通ってしまった国民総背番号制法案(マイナンバー法案)ではないですが、国民のDNAをすべて登録するのだみたいな法案が出てくる。
その後で、NSAアメリカ国家安全保障局(世界中の電話を盗聴していたところ)を思わせるような、監視カメラで特定の個人をサーチできるシステムが登場。
続々とかっこよくて、面白い、現代社会を揶揄したようなシステムが出てくるので感動しました。
こうなってくると気になるのは、謎のモーグルシステム。
期待しすぎたせいか、ちょっとがっかりしました。
もうなっているのかもしれないけど、確かに近未来はプライバシーも自由も人権もなにもない「プラチナデータ」のような世界になるかもしれないです。
関係ないけど、現在国会で審議中の”特定秘密保護法案”ってすごい。
国民一人一人に番号をつけて、国民のいろいろな秘密を管理しようとする人が、自分達の秘密は明らかにしないようにする法案。
もう「プラチナデータ」の世界を超えているかもしれない。
そのうち本当に、国民一人一人のDNAを登録する”マイDNA法案”みたいなものが、知らないうちにできていた、なんてことになるかもしれない。


ボクたちの交換日記  評価80点  2013/8/23

昔はミュージシャンや俳優がかっこいいと思ったけど、現在は新人のアイドルや女優、若手の芸人さんなどの方がかっこいい。

昔はミュージシャンや俳優がかっこいいと思っていたけど、現在は新人のアイドルや女優、若手の芸人さんの方がかっこいいような気がします。
昔のミュージシャンや俳優は、よくわからないながらも、なんとなく顔が見えていました。
しかし、現在売れている俳優さんやミュージシャンの人は、本当の正体を隠し、裏で何をやっているのかわからない人ばかり。
売れた芸人は、ネタをあまりやらなくなり、裏で何をやっているのかわからないバラエティーの司会者みたいになる。
基本的に裏で何をやろうが、面白ければいいし、いい芸や、いい曲ならいいのかもしれないけど、裏で何をやっているかわからない人の芸や曲は、素直に共感できない。
それだったらまだ、顔を見せて、自分の全存在をかけて頑張っている人の芸や曲の方が、少なくともかっこいいし、応援したくなる。
個人的にですが、以前はアイドル(女性)の歌など、ばかにしていて、まったく聞かなかったけれども、最近聞くようになった。
いい曲とは思わないけど、明るさと、元気のよさと、かわいさ、それに必死で頑張っている姿勢に惹かれます。
「AKBグループ」や「あまちゃん」がうけるのも、結局そういうことだと思います。
本作はアイドルではなく、若手芸人の話でしたが、そのあたりを強調していて、たいへん面白かった。
原作は読んでいませんが、ストーリー的には、若手漫才師の栄光と挫折、みたいなものを描いていて、王道パターンだと思います。
内村さんは恒常的に映画を監督している方ではないし、王道パターンに頼りたくなるのはよくわかりますが、底が浅い感じになってしまったのが残念。
この映画の場合、できればちょっとはずしてほしかった。
マンガの「べしゃり暮らし」(若手芸人の話)みたいに、ちょと売そうになったところでいい気になり、酒を飲みすぎ、真冬に雪の降りしきる中、裸で公園のベンチで寝てしまい、そのまま・・・というようなものでもよかったと思います。
よく「漫才ギャング」と比べているレビューを見かけますが、個人的にはこちらの作品の方が好きです。
「漫才ギャング」はありえない感じの映画用のコントネタのような印象で、こちらの方が現実感があるような気がして映画的にはよかったです。


横道世之介  評価70点  2013/8/10 

作り話だけれども、現在の話でないところがミソ。当時の状況とは、何か根本的に違うような気がしました。

現在の大学生がどうなっているのかまったくわかりませんが、当時の状況とは何か根本的に違うような気がする。
恥ずかしながら、私もたぶん同時期に、都内で大学生をやらしていただいてました。
原作は読んでませんが、この映画では現在ではなく、かなり前の大学生という設定にしているところがうまいところでもあり、ずるいところ。
これを見ていると私が高校時代に思い描いていた大学生活に近いような気がしました。
でも、実際はまったく違っていた。
当時はまだ学歴社会で、大学のランクで、かなりはっきり色分けされていた。
今はやりの言葉で説明すると、スクールカースト制をもっと大きくして、ひどくしたような感じだった。
大学の中でも、プライベート的なところでは、異性にもてるか、もてないか、今風にいえば、イケてるか、イケてないが支配する世界だった。
頭のいい大学の人や、勉強ができる人、部活を真剣に頑張っている人は、そんなのあまり関係ないし、それなりにイケてる部類に入るのだろうけど、それ以外の一般人で、特にイケてない部類に入る人はかなりきつかったです。
高校でなら、ちょっと何か頑張れば、校内の人気者になれるかもしれない。
でも大学の場合、レベル高い、人数多い、その大学だけではない、みたいな感じで、イケてない人がイケてる部類に入るのは至難です。
それをふまえてこの映画を見ると、横道に別の大学の女子大生の翔子が自分からぐいぐいくるのがすごく不思議だった。
女性の二十歳前後というのは一番いい時期で、ちょっとイケてる女子なら、どこでもチヤホヤされる売り手市場だし、当時は女性の方から、積極的、直接的アプローチはあまりしないのが一般的だった。
それに女子大生は頭がいいし、多少志も高いから、早くも男を値踏みし始めたりする。
もちろんいろんな人がいるし、高良さんみたいなさわやかなイケメンだったらこうなることもあるかもしれない。
それでも、吉高さんみたいな美人のお嬢様女子大生があれだけグイグイくるかな?
一時期はくるとしても、男がほっておかないから、ライバルが出現しないのはおかしい。
それにいろんな人との出会い方が超不自然だし、途中経過のいいところだけやって、都合の悪いところははぶき、結果だけ描いている。
いいとこどりで、不都合なところはカット。
もちろん映画は作り話で、夢の世界だから、こうだったらいいな、ということでもいいのかもしれない。
でも、高校生以下が見たら面白いかもしれないけど、普通の大人が見れば、すごく違和感を感じると思います。
あと自戒の念をこめて言わしてもらうと、若い人にはもっと勉強していただきたいです。
最初からあきらめて、就職目当てで遊んでいないで、経営学部なら経営学で身を立てる覚悟で、精進して欲しいです。


闇金ウシジマくん  評価60点  2013/3/29

気分の悪くなるようなところをうまく処理して、面白いところを引き出してほしかった。

DVDで見ました。テレビドラマは、公開時にネットで無料公開していたのを見たし、原作も読んでいます。
ウシジマくんは基本的に面白いと思うけど、薬の副作用みたいに同時に気分が悪くなります。
なぜ気分が悪くなるかというと、現実では顔を合わせず、意識せずにしている、されていることを、ウシジマくんは思いっきり顔を合わせて、意識して強引にやっているから。
例えば本作のウシジマくんセリフで「金は奪うか奪われるかだ、てめえの本心殺して、人に媚売ってめぐんでもらうもんじゃねえ!」というのがありますが、まさしくそのとおり名言だと思う反面、違うと思いたい気持ちもあり、複雑です。
本作では主に二つのエピソードを同時進行させて、スケールアップを図っているのですが、面白さもスケールアップしているのかどうかは疑問です。
林遣都さんのところはまあまあ頑張っていたけど、大島優子さんのところがダメだと思う。
最初は大島優子さんがこの役やるのか?と思って驚いたけど、結局大島優子さんのイメージを守るため、グダグダの妙なストーリーと演出になっていました。
客寄せパンダ的な人が欲しいのはわかるけどすごく残念。
薬の副作用を減らすと効果もなくなるように、気分が悪くなる部分を減らしたために面白さもかなり減っていました。
いろいろなやり方があるとおもうけど、気分の悪くなるような部分をうまく処理して、面白いところを最大限に引き出すのがいい映画だと思う。


苦役列車  評価75点  2013/2/3 11:25

原作は読んでいないけど、何か方向性が違うような気がした。

マンガの『闇金ウシジマくん』の中のエピソードのような話だった。
いつウシジマくんみたいな人が出てくるのかな?と思って見ていたが、最後まで出てこなかった。
そこまでバカではないということか?
モテない男の話は大好きだけど、この映画の主人公北町はモテない男の匂いがしない。
けっこう度胸もあるし、積極的、芝居もうまいし、生活力もある、なかなか頭もいい。
本気になればモテるかもしれないのに、人に好かれたいとか、いい人に思われたい、みたいな気持がまったく見えない。
特に社会的なメッセージが入っている訳でもないし、時代的なことも絡んでいないので、ただ個人的で特殊な事情による不遇な境遇に負けて、ひらきなおって暴れているだけのような気がする。
原作は読んでいないけど、言いたいのは主人公のダメさ、ひどさ、醜さみたいなことなんだろうと思った。
全体的にはけっこう面白かったけど、エンタメ系の要素はいらないような気がした。
まず、意外によかったけど、前田敦子さんはいらない。
この映画に、客寄せパンダ的なイメージの元AKBの人を入れるのはおかしい。
それから、あの夢をあきらめず追いかけようみたいなラストの部分は、つじつまが合わなくておかしい。
もっとリアルに、ひたすらひどく醜い感じにして、結果として出てくるであろう笑いみたいなもので勝負したら、もっと面白かった思う。
けっして面白くないわけではないけれど、何か非常に残念な感じの映画でした。


バッド・ティーチャ―  評価80点   2012/10/19

なんとなくけしからん感じの映画ですが、お金で結婚相手を決めるのはアリなのでは?

キャメロンさんが復活していた。もともとが群を抜いてきれいだから、あまり気にしていないのかもしれないが、「ナイト&デイ」の時は正直言って、容姿の衰えがかなり目立っていた。
本作では化粧を厚くしたのかどうか知らないけど、かなり復活していて、まだまだいける感じだった。できればもう少し、ラブコメ映画の現役で頑張ってほしい。
内容は、玉の輿に乗るためなら、手段を選ばない女性教師の話です。
金持ちの男性をゲットするため、いろいろなイタいことをやり始めます。
はたして首尾よく玉の輿に乗ることができるのか・・・・?
というようなストーリーでした。
お金で結婚相手を決めるなど間違っている、と言いたいところですが、全部ではないけれど一番はお金かもしれない。
財布別、住むところも別みたいな、結婚しているのかどうかわからないような形の夫婦をよく見かけるようになったけど、それは別として結婚はお金がかかる。
よく昔から「一人口は食えないけど、二人口は食える」(二人で協力すれば食べていけるということ)と言うけれど、現在ではちょっと違うような気がする。
昔みたいに、食える食えないのレベルではなく、結婚前には皆それぞれそれなりのいい生活をしているから、生活レベルを下げないだけでもたいへんなお金がかかる。
人の好みが多様化しているし、サービスや製品もそれに合わせて多様化高度化して、なんでもお金だから、協力しにくいし、協力してもあまり意味がない。
子供ができれば、またお金がかかるし、親のめんどうも見なければならないかもしれない。
今は「一人口が食えなければ、二人口はもっと食えない、三人口、四人口はもっともっと食えない」状態。
そうなると、やっぱり金持ちと結婚するしかない。
これは女性だけでなく、男性もそうだと思う。
男性の場合はすべて自己責任みたいな考え方があるけど、現実と合ってないような気がする。
どんどん給料や売上が上がっていく時代ではなく、お金になる技術やスキル、システムを持っていなければ、そのまま固定化する可能性が高いし、リストラや倒産に会うかもしれない。
そうなってくると、やっぱり男性も逆玉を狙いたくなりそう。
昔からあるけれど、特に現代ではお金めあての結婚はある程度しょうがないような気がする。
とはいえ、本作はそんなに真剣な感じではなく、ひたすら軽いラブコメです。
他の女優さんがこういう役をやると、とてもイタい感じになるけれど、キャメロンさんだと、ハジケまくって、笑いに持っていくので、そんなにイタい感じではなかった。
キャメロンさんはいまだ独身だし、役と重ねて見てみるのもおもしろいかもしれない。
サスペンス物ではよくある設定だけど、日常的なところでメインに持ってくる映画はみたことなかったのでおもしろかった。
登場人物が全員、玉の輿をねらいまくる、玉の輿合戦みたいなラブコメもおもしろいかもしれない。


ヤング≒アダルト  評価80点   2012/10/3

美人なのにモテなくて、イタい系の映画はおもしろい。あまり見たことないけどもしかしてラブコメの新ジャンルかも?

ラブコメのつもりで見ていたのですが、ラブという感じでもなかったし、イタいばかりで、笑うところなかった。
最初はこんなキレイな人が、ショボイ高校時代の彼氏(既婚)と、よりを戻そうなどということを考えるわけないし、実際に行動するわけない、ありえないと思っていました。
でも見ていくうちに、シャリーズ・セロン(役名メイビス)みたいな美人だったら、逆にそうなるかもしれないと思うようになりました。
「女性は全部持って生れてきて、だんだんなくしていく」というけど、結局そういうことが言いたかったのでは?
シャーリーズ・セロンがそのまま高校生だったら、とんでもない美人。高校の全校男子だけでなく、町中の男全員もっていかれるかもしれない。
美人女優さんのインタビューを聞くと、だいたい若い頃はモテまくっていて、女優さんになってからよりモテていたという人も多い。
だけど、だんだん年をとってきて、幸せな結婚をしておらず、仕事もうまくいっていないとなると、美人だけにすごく重くて、近寄りがたい感じになる。
もうあまり持っていない感じなのに、昔と同じ女王様気分だったらもう最悪。
まず普通の感覚の人にはモテないと思う。
そうなったら、昔はよかった、夢よもう一度、となっても不思議ではない。
映画としてはモテまくっている時よりも、こういう状態の人の方が興味深いと思う。
こういう人の映画はあまり見たことないけど、ラブコメの新ジャンルかも?
そんなに見ているわけではないけれど、似たような映画ではレ二―・ゼルウイガー主演の「たった一人のあなたのために」(goo映画ではこの映画のページなかった)ぐらいしかおもいつかない。
そういえば、シャーリーズ・セロン出演作「スノー・ホワイト」もテーマ的に似ている。
セットで見るとおもしろいかも?


映画 けいおん!  評価 未採点  2012/8/10

ゆるくて、軽くて、すばらしい。

以前、映画版の評価が非常に高かったので、DVDで見てみました。
TVアニメ版は初めのころ見ていましたが、毎週、毎週、なんの事件もおこらず、練習もせず、部室でお茶飲んでお菓子食べて、皆で話して終わりみたいな、ゆるゆるな感じに耐えられず、見なくなりました。
さすがに、映画版では海外旅行とか、卒業とかのエピソードに、バンド演奏を絡めて、盛り上げていましたが、基本のゆるさは変わっていなかった。
この映画見ていたら、ゆるくてもいいのでは?というより、ゆるい方がいいのかも?という気になりました。
普通の映画では、一瞬、一瞬が、命をかけた戦いみたいな、きつくて重い感じになる。
見ている分にはおもしろいけど、ちょっと疲れる。
逆に、ゆるくて軽い感じだと、おもしろさはだいぶ落ちるけど、ゆっくりして、しあわせな気分になれる。
現在、ゆるキャラはたくさんあるけど、きつキャラはない。(これからはやるかもしれないけど・・・)
ゆるくないと、人をひきつけられないからだと思う。
そうだとすると、もっとゆるい感じの映画があってもいい。
実写だとリアルすぎて難しいけれど、アニメなら問題なく表現できる、ゆるくて軽い感じがすばらしかった。


八日目の蝉  評価80点  2011/11/12 20:14

永作さんの被害者意識のオーラがすごい。北斗の拳のラオウ並みでした。

評価高かったし、レンタルDVD屋さんのポップに、いろいろなことでNO1と書いてあったので、すごく面白いのだろうと思い、見てみました。
こういう映画見るといつも思うのだけれど、登場人物の被害者意識がすごくて、リングの貞子みたいに画面から出てきそうになる。
女の人ってよくわからないけど、被害者意識のスタンド(ジョジョの奇妙な冒険に出てくるみたいな・・・)みたいなもので戦う、あるいは攻撃するのが大好きなような気がする。
そう仮定すると、ドロドロの不倫は最高のバトル・フィールドで、表向きはいやがっているけど、本当は好きなのではないか?と思う時がある。
最終的には、男などどうでもよくなって、自分の被害者意識のスタンドが、相手よりも強いことを証明したいだけみたいな感じになる。
こういうパターンだと、通常は被害者意識を爆発させて、私かわいそうでしょう?みたいな感じで終わるのだけれども、永作さんのところだけはそうなってないところがいいと思いました。
この映画の永作さんは最後、社会体制の被害者のいいお母さんみたいになってしまっていたけど、絶対違うと思う。
どう考えても加害者で、ドロドロ不倫好きの犯罪者です。
基本は被害者意識爆発映画なのだけれども、最後にそういう人の本当の姿を考えさせるところが素晴らしいです。
本年度NO1の傑作かどうかはわからないけど、本格派のいい映画だと思いました。
映画とは関係ないけど、永作博美さんって、AKB48の大島優子さんに似ていると思っているのは、私だけなのかな・・・?


パラダイス・キス 評価70点 2011/10/27

逆少女マンガ状態になりました。向井理さんがかっこよかった。

原作はまったく知らないし、評価低いので特に期待もせず、なんとなくDVD出ていたので見てみました。
少女マンガの原作物は、主人公に感情移入できるかどうかが問題で、できれば面白いけど、できないと、まったくついていけなくなる。
自分は、北川景子さんのガツガツした肉食系の感じが苦手なので、だめかな?と思っていたけど、意外にすんなり入れた。
北川さんがよかったというよりも、向井理さんがかっこよかったからだと思う。
向井理さんはかっこいい。男から見てもかっこいい。
このパターンだと、だいたいジャニーズ系の人になるけれど、ジャニーズ系の人は、かっこいいというより、かわいい感じに近い。
ジャニーズ系にならなくても、それに近いやさしくて甘いイメージの人、もしくは逆に不良系の人になる。
向井さんはその中間の、しっかりしていて落ち着いたかっこよさがある人。 この
ジャンルの人は、昔はたくさんいたような気がするが、現在の日本人にはほとんどいない。
ハリウッドスターにはいるけれど、かっこよすぎるし、絵に描いたもちで食べられない。
韓流は見ないので、よくわらないけど、だから韓流スターということになるのかな?とちょっと思った。
内容的には、いろいろ残念な感じで、特に北川さんの演技が残念だったけど、きれいだから、別にたいした問題ではないでしょう。(でも女子高生役はギリギリだったかも・・・?)
とにかく向井さんがかっこよくて、それに対して特に抵抗感や対抗意識もなく、絶対無理だけど、こんな風だったらいいなとか、こんな感じになれたらいいな、と素直にあこがれの気持ちでたのしめました。


壬生義士伝  評価:70点 2010/1/11

けっこう言いたいことがあります。

テレビで見ました。原作は読んでいないけど、これに関してはいっぱい言いたいことがある。
まず基本、私は坂本龍馬とかより、新選組の方が好きです。
この映画は司馬先生の作品を元にしたものではないけれど、かなり参考にしてると思います。
私は、司馬先生のファンで、かなり読んでいますが、「竜馬がゆく」より、「新選組血風録」とか、「燃えよ剣」の方が、好きです。
「竜馬がゆく」は大好きなんですけど、それは小説だけです。
龍馬って、なぜか知らないけど、小説では面白いんだけど、映像にするとまったく面白くない。
それに比べて、新選組はすごい、映像的には、これ以上ないと思えるくらいの素材です。
歴史的には負けてるんだけれども、負けるが勝ちというか、記録よりも心に残るというか、今だにいろあせない魅力があります。
この映画に出てくる、斎藤一は、少年ジャンプの「るろうに剣心」を思い出しましたし、「銀魂」なんかも新選組です。
映画の「御法度」、「蒲田行進曲」なんかも新選組中心です。
新選組は、映像的に、維新の時代物では、これほど面白いものないです。
原作者の浅田次郎さん、申し訳ないけど、オリジナリティーはないと思うけど、面白い臭いにはやたらするどくて、面白そうな話を、てきとうに組み合わせて話を作るのが、実にうまい。
これもそういうところから、できたのではないかと、ちょっと思った。
中井貴一さん、さすがに本人の特集だけに、すばらしかった。
東北弁がいい味出していたし、一見弱そうなところがいい。
でも、役者としては、特殊なポジションにいると思うので、これからどういう役を演じていくのか、すごく興味があります。
あと、監督の滝田洋二郎さん、あまり作品見ていないけど、「おくりびと」は皆さんが言うほど、私は、面白くなかった。
実際の葬式では、おくりびとなんて見たことないし、地獄の沙汰の金しだいみたいなのが現実の葬式なのに、いくら作り話とはいえ、葬儀屋さんの下請けみたいな人を、崇高な使命をおびて使者を送りだす人みたいに描いて、涙をさそうのはどうかと思った。
この話は、渡辺謙さん主演で、テレビでもやっていたが、テレビの方はあまりにも家族、あるいは奥さん中心でつまらなかった。
家族の為に脱藩したり、人を殺して金を得たりするのはかっこわるいし、個人主義や家族主義の外国ではあたりまえなのかもしれないけど、武士道ではないような気がした。
テレビでは、一線を越えていたが、この映画では、なんとか許容範囲だった。
原作ではどうなっているのかわからないが、この滝田監督の演出の方がいいような気がした。
この話って、実話なのかもしれないけど、武士道の世界に、欧米流の個人主義や家族主義を持ち込んで、興味をひこうとしたようなねらいが、垣間見えてちょっと抵抗があった。
素直に見れば、面白い方の映画と思う。


パッチギ  評価70点  2007/11/26

おもしろいんだけど、恥ずかしい映画。

別に見る気なかったんですけど、キネ旬一位になっているので、勉強のため、見てみました。
確かにおもしろかったけど、朝鮮の人の扱いが疑問です。
この映画では、朝鮮の人の扱いが、アメリカにおける黒人の人と、同じ様な扱いになっていましたが、それはないでしょう。
あまりにも無恥すぎます。
この映画を日本人以外の人が見たら、そうなのかと思ってしまいそうです。
いくら作り話とはいえ、もう少し考えていただきたかったです。
もしかして本気だったら、目も当てられません。
それと私、キネ旬主催、映画検定3級なんですけど、こんな映画を一位にしているようでは、見識を疑わざるをえません。
どういう理由で、「三丁目の夕日」の一作めより評価が上なんでしょうか?
まったく理解できません。
がんばって二級受けようかと思っていたんですが、モチベーションが・・・・・・・・・・


椿山課長の七日間  評価80点  2007/9/2

予想外におもしろい、感動作でした。

おもしろかった。
こんなにおもしろい作品とは思いませんでした。
「憑神」の時も書きましたけど、浅田次郎さんの原作のものって、アイデアが陳腐なものが多くて、小説で読むとおもしろいんだけど、映画にするとつまらなくなるものが多いです。
これも予告編見たら、「転校生」のアイデア使って、うまくまとめたものなんだろうと勝手に判断して、映画館では見ませんでした。
しかし、この映画の場合は予想外でした。
やっぱり、いろんな作品の寄せ集めみたいなものでしたが、監督がいいのか、原作がいいのかわかりませんが、寄せ集めがうまくいって、とてもおもしろい感動作になっていました。
まあ、浅田次郎さんも人間だから、おもしろい作品もあればつまらない作品もあるだろうし、監督も違うわけだから、成功することもあるということでしょう。
予告編見ると「転校生」だけど、実際の内容的には、「スカイハイ」に近いかな?
見ている方はおもしろければいいわけで、なんのアイデア使おうが関係ないけど、贅沢を言えば、見たことないような、オリジナリティーあふれる作品が見たいです。


ピンクパンサー  評価85点  2007/5/17

スチーブ・マーチン主演映画、はずれないです。

ドリームガールズのビヨンセ出ていると聞き、興味をもち、DVD借りてきました。
すばらしいです。
スラップステックコメディーっていうんでしょうか? 大笑いできました。
昔の映画も多少見てますが、Mrカトーがジャンレノになっていました。
いくらなんでも、もったいないでしょう。
別におもしろかったからいいけど・・・。
スチーブ・マーチン主演映画、だいぶ見てるけど、はずれはまずないです。
ちなみに、私の一番すきなスチーブ・マーチン主演映画は、「大災難PTA」です。(もう亡くなったけど、ジョン・キャンディーも出ている。)
なんか続編できそうな雰囲気なので、できたら見に行きたいと思います。


佐賀のがばいばあちゃん  評価80点  2007/5/3

貧乏が主役だと思います。

泣けます。よいです。私の場合、テレビの2時間ドラマを見て興味を持ったのですが、映画の方見ていなかったので、DVD借りてきて見ました。
やっぱりテレビより、映画の方が上です。
キャラクター的には、泉ピン子さんの方があっているんですが、イメージが限定的で、逆にリアルさがなくなったような気がしていました。
映画の方はどこにでもいるような、サラリーマンのおばあちゃん風になっているところが、すごくよいです。
そして、なによりもよいのは、この映画では誰も死んでいないということです。
おばあちゃんにしても、元気爆発という感じで、あと100年は生きそうな感じです。
なんだか最近の日本映画って、主人公が難病になるか、恋人や家族を、難病とか事故で殺すかで、さあ泣いてください、みたいな映画ばかりで、かなり抵抗がありました。
この映画では、誰も死んでおらず、貧乏で悲惨な目に会い、かわいそうというわけせもなく、明るいというか、こういう貧乏ならしてみたいという積極的な気持ちになれます。
そして、その明るい貧乏によって、ばあちゃんの人間的魅力と、偉大さというか、人間的な大きさをよりくっきり表していました。
まさに環境は人を作らない、その人の人間性を表すだけだ、という感じです。
さらに貧乏によって、主人公とばあちゃんの、さわやかな愛情の交流をひきたたせ、まわりの人々の人情や、やさしさを引き出し、泣かせます。
そして、半分捨てられたような感じで、ばあちゃんの所に送られながら、まったくうらまず、怒らず、母親を慕い続け、待っている、主人公のけなげさも、とてもよいです。
それに加えて、昭和30年代の風景と、時代設定とくれば、ノスタルジーも加わり、鬼に金棒でしょう。
貧乏って、実際にはいやだけど、映画にすると、これほど光るものないです。
名作の一つの条件でしょう。
いやー貧乏って、ほんとにいいもんですね??



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